こんにちは、心理カウンセラーの東条直子です。
カウンセリングをしていると、
「自分はダメな人間なんです」
「何もできないんです」
「自分が何かすると、いつも人に迷惑をかけてしまうんです」
こんなことをクライアントさんに言われることが結構あります。
「どんなことからそう思われたんですか?」と質問すると、それなりの理由を話します。
でも、聞いていると、客観的には「そんな失敗ってよくあることじゃないかな?」「それができなかったからダメな人間なの?」と疑問に思うことがたくさんあります。
「自分はダメな人間なんです」というのはただの思い込みでしょうか。
ただの思い込みです
はい、ただの思い込みです。
「お隣の家の〇〇ちゃんは、勉強も運動もできてすごいわね」
「あなたはまた失敗したの?」
「なんでこんなこともできないの?」
たとえば、親からこんな否定的な言葉をかけられて育つと、自分はダメな人間、何もできないという自己イメージができあがります。
否定的な自己イメージができあがってしまうと、何かうまくいかないことが起こると、自分はダメな人間、悪い結果は自分が引き起こしたものと思い込むようになってしまいます。
そう思い込むと、誰かに
「あなたは悪くないよ」
「あの人がおかしいんだよ」
といわれても、やさしい言葉をかけられてもまったく心に響きません。
「いや、自分が悪いんだ」
「自分のせいだ」
とかたくなにやさしい言葉を拒否します。
でも、これってただの思い込みなんです。
ピグマリオン効果とゴーレム効果
「ピグマリオン効果」と「ゴーレム効果」というのはご存じでしょうか。
他者から期待されることで、学習の成績や仕事の業績があがることを、「ピグマリオン効果」といいます。
その逆で、他者から、「この人は期待できない」と思われたり、関心を示されないと、成績や成果などが低下する現象のことを「ゴーレム効果」といいます。
この2つに共通するのは、人からの期待の有無がパフォーマンスに影響するということです。
人は、期待されると、無意識のうちに、期待にこたえようとする意識が働き、パフォーマンスがあがります。逆に、誰からも期待されていないと、モチベーションが低下し、パフォーマンスもさがります。
ゴーレム効果の厄介な点は、
期待値が低いと感じると
↓
パフォーマンスが低下する
↓
さらに期待値が低下する
↓
さらにパフォーマンスが下がる
という負のループに入り込んでしまことです。
アダルトチルドレンの人たちは、もともと自己肯定感が低いので、本来の力を発揮できず、そのため周りからもできない人だという目でみられ、さらにパフォーマンスが低下する、という負のループにはまっている可能性があります。
人は期待されるとどんどん力を発揮する
たとえば、身近にこんな人はいないでしょうか。
会社で、容姿、能力ともに平凡で、性格も内向的なので、同期の中でもパッとしない人がいたとします。
そんなパッとしない人が、仕事ができるという評判の上司のもとで仕事をすることになると、ある時から急に、表情がキリっとしはじめ、社交的になり、仕事の成果もだすようになり、社内でも羨ましがられるほどに目立つようになった。
でも、上司が変わると、再びパッとしなくなり、それまでが嘘のように目立たなくなった。
ここまでの極端なことはないかもしれません。
でも、仕事で上司が「この部下はできる!」と思い込むと、実際にその人がどんどん力を発揮して出世していくということは経験したことがあるのではないでしょうか。
アダルトチルドレンの「自分はできない」という思い込みも、親から期待されていなかったため、本来の力を発揮できておらず、さらに周囲からの期待が低下するという状態になっている可能性があります。
まとめ
「自分はダメな人間」というのは、親から植え付けられた思い込みで、アダルトチルドレンの自己肯定感の低さがパフォーマンスを低下させているということをお伝えしました。
そんなことを言うと、「いや、あの人は本当に能力が低いんだ!」という反論がでるかもしれません。才能、能力は人によって違いますし、その人にとっての100%の力が、別の人にとっての70%の力なのかもしれません。
でも、本人が「自分はできない」と思い込んでいたり、周囲の人が「できない人間」と決めつけてしまうことで、モチベーションが低下し、努力すること自体をあきらめてしまい、100%どころか30%の力も出せていない状態にあるのかもしれません。
ということは、本人が「自分はできる!」と思い込むこと、あるいは周囲が「あなたはできる」という適度な期待をかけていくことで、モチベーションがアップし、今よりも力を発揮でき、実際に「できる人間」になっていくと考えられますね。
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