心のブレーキがかかる人と、かからない人の違い
心のブレーキとは、何らかの行動を起こそうとしたときに、ストップをかけてしまうことです。
たとえば、看護師になりたいと思ったとき。
「でも自分には無理。できない」
と思うと、情報をあつめたり、勉強しようとする行動にストップがかかります。
あるいは、お金持ちの人をみてうらやましいなと思っても、
「いや、お金をもってる人に良い人はいない」
「お金をもつと、ギャンブル、浮気におぼれて、不幸になる」
と思うと、現状に満足したり、お金をもつことに消極的になります。
何かをしたいと思ったときに、
自分にはできない、そんなことをしても意味がない、それをしたら不幸になる、
といったネガティブな言葉が浮かんだり、ネガティブなイメージが浮かんで行動にうつせない場合、心のブレーキがかかっているといえます。
一方で、「〇〇になりたい!」と思ったら、すぐに勉強を始めたり、どうしたらなれるのかを調べたりする人がいます。
そういう人の頭の中では、そもそもネガティブな言葉やイメージは浮かんでいません。
あるいは、浮かんではいるけれど、すぐにポジティブな言葉やイメージに変わっています。
では、心のブレーキがかかる人と、かからない人の違いはなんでしょうか。
親から受けた心の傷を意識化できているかどうかの違い
それは、親から受けた心の傷を意識化できているかどうかの違いです。
たとえば、
「あなたはいつもすることが遅いわね」
「お母さんがいないと何もできない子ね」
「一番じゃないと意味がないわ」
「なんでこんなこともできないの?」
「あなたの顔は良くないから、必死に勉強していい大学に入りなさい」
家の中で、親からこんな言葉をかけられていると、「自分はダメな子」「何もできない」「自分は醜い」という自分に対するイメージが無意識の中に植え付けられていきます。
また、言葉ではなくても、父親が仕事で成功してお金をもつようになると家をでていった、あるいは、たくさんのお金をつかうようになって借金まみれになった。
そんな経験をみると、「お金=悪」と思い込むようになることがあります。
心のブレーキがかかる人というのは、家の中でみたりきいたりしたことが心の傷となっていて、その偏った情報や考えをもとにいまの出来事をとらえているといえます。
幼少期の経験が、考え方や行動パターンに影響する
ほとんどの人が家の中で育ち、生まれて最初にみたりきいたりするのは親の言葉や態度です。
子どもの頃は、モデルは親であり、家の中でみたりきいたりしたことが正しいと思い込んでいます。そして、幼少期に見聞きした考え、価値観、対人関係の在り方、自己イメージが潜在意識の中に定着していきます。
潜在意識は、無意識ともいわれ、普段は意識されないもので、主に過去に起こった印象的な出来事を記憶しています。
人間には「潜在意識の現状維持システム」というものがあります。
それは、何らかの行動を起こそうとしても、現状を維持しようとする力が働きます。たとえば、三日坊主、ダイエットのリバウンドなどなど…。
意識では、3時のおやつをなくして体重マイナス5㎏!と目標を決めても、変化を嫌う潜在意識では現状を維持しようとする力が働き、結局続かない…ということになります。
もしかしたら、潜在意識の中に、「あなたは何をしてもできないわね」と親から言われていた結果、自分は何もできないという自己イメージが出来上がっているのかもしれません。
あるいは、母親が同じようにダイエットをしていたけどリバウンド繰り返していた光景を子どもの頃にみていた、痩せてきれいになった母親が浮気をして家を出ていったという悲しい記憶が潜在意識の中にあるのかもしれません。
人は、幼少期に見聞きした考え、価値観、自己イメージをもとに現在の物事を判断するので、意識上ではそれまでと異なる考え方を身につけたとしても、潜在意識に引っ張られて、結局考えが変わらない、新たなことに挑戦しようとしても続かないといったことになってしまいます。
自分にとって居心地の良いことをすると罪悪感が…
たとえば、結婚して30年の50代の専業主婦の奥様からこんなお話しがありました。
「友達とお茶をしたり、お出かけをしていると、最初は楽しいのですが、だんだん主人に申し訳ない気がしてきて…罪悪感がでてきて、楽しめないのですぐに帰るんです。結局、いかなければ良かったなと思ってしまって…でも、ストレスの発散には自分の楽しめることをすることが一番といわれるので、出かけた方がいいと思うのですが」
この方は、結婚してからずっとご主人様の顔色をみて生活をされており、ご主人様が不機嫌にならないように、居心地よく生活できるようにとだけ考えて過ごされ、大変窮屈な思いをされていた方でした。
他人からの評価を基準に、他人軸で生きていたことに気づかれ、自分軸で生きるために、自分にとっての楽しいこと、居心地の良いことをしようと取り組んでいた時に話されたことでした。
楽しいという感情がでてくると、同時に罪悪感がでてくるということに関して、思いだすこと、頭に浮かぶイメージを聞いていきました。
すると、生活に余裕がなかったため必死に働いていた母親の姿を幼少期にみており、お金を稼がなければいけない、仕事をしてもいないのに楽しんではいけない、自分のことよりも他人のことを優先させなければいけない、という母親の考えがご自分の中にもあることに気づかれました。
それが現在、自分は仕事をして収入を得ていないこと、ご主人様が仕事をしているのに、自分だけが楽しい思いをしているということに罪悪感を感じてしまう原因でした。
幼少期の親の言動から、「~してはいけない」「~しなければいけない」という考え、価値観が潜在意識の中に定着し、50代になってもその潜在意識に振り回されている状態でした。
まとめ
心にブレーキがかかる人と、かからない人の違いについてお伝えしました。その違いは、親から受けた心の傷を意識化できているかどうかの違いです。
子どもにマイナスな影響を与えない完璧な親というのは存在しません。
悪気はないのに、親の些細な言動が子どもを傷つけてしまっていることもあります。
人間であれば誰でも親から言われてショックだった言葉、傷ついた体験はいくつかあるはずです。
心にブレーキがかかる人というのは、心の傷を意識化できておらず、潜在意識の中にある幼少期に身につけた考え、価値観、自己イメージに、現在も影響を受けている人と言えます。
一方、心にブレーキがかからない人というのは、親から言われてショックだった言葉や傷ついた体験は同じようにありますが、意識化している、つまり自覚している人と言えます。
自分の傷つきを自覚したうえで、親のいうことが100%正しいわけではなく、正しいこともあれば間違っていることもあるというような柔軟な考えをもって、物事を客観的にみることができています。
ということは、心にブレーキがかかっている人でも、心の傷を意識化できれば、「〇〇したい!」と思ったらすぐに行動に移したり、他人をみて羨ましいなと感じたら、自分もそうなれるように動き出すということができるようになるということですね。
カウンセリングでは、心のブレーキをはずすお手伝いをさせていただいております。
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