こんにちは、心理カウンセラーの東条直子です。
「いま忙しいからあとにして」「ちょっと待って、今は無理」
話を聞いてもらいたくて話しかけたのに、こんなふうに言われたことはありませんか?
あるいは、話しかけられてこんなふうに返事をした経験はありませんか?
これって夫婦、親子、職場の部下と上司、誰との間でもよくある会話ですよね。
でも実は、よくあることだから気をつけた方がいい言葉なんです。
「あとにして」と言う側はあまり気にしていない言葉ですが、言われた側は、いろんな感情がわいています。そして、そんなことが繰り返されると、心の距離がどんどん広がって取り返しがつかなくなってしまうことがあるので、要注意です。
心の距離が広がる理由と、言ってしまった側と言われた側ができる改善点についてお伝えしますね。
「あとで聞く」は忘れられることが多い
「いま忙しいからあとで聞く」という言葉は、時間や心の余裕がない状況ではよく使われがちです。
この言葉自体は悪くはないのです。しかし、問題はその「あとで」がこないことが非常に多いということです。
日常の忙しさの中で、後回しにしたことを忘れてしまうのは人間として自然なことですが、話を聞いてもらえなかった相手にとっては、大きな意味を持つこともあります。
特に、心の中に不安や悩みを抱えている人にとって、「あとで」と言われることは、拒否されたと感じられやすく、孤独感を強める原因になります。
たとえば、子育てのことで悩んでいる妻が帰宅したばかりの夫に話しかけ、「あとにして」と言われたものの、その後夫から話を聞こうという態度がみられない場合、妻は自分の悩みを軽んじられたと感じるかもしれません。
あるいは、拒否されたという思いだけが残っていくかもしれません。その感覚が蓄積されることで、信頼関係が崩れてしまうこともあるのです。
感情の蓄積が関係に影響する
「あとで聞く」と言われて待っている間、相手の心にはどんな感情が湧いているでしょうか。
最初は単なる「待ち時間」かもしれませんが、時間が経つにつれて「あとで聞いてもらえないかもしれない」という不安や、「自分の話はそれほど重要ではないのだろう」といった悲しみが生まれることもあります。
こうした感情が蓄積すると、やがて不満や失望に変わり、それが関係に影響を及ぼすことになります。
たとえば、夫婦間でこのやり取りが繰り返されると、パートナーは次第に「どうせ話を聞いてもらえない」と感じ、徐々に自分の感情を抑えるようになるかもしれません。結果として、お互いに本音を言わなくなり、心の距離が広がってしまうのです。
同様に、親子関係や職場の上司と部下の間でも、この感情の蓄積は無視できない問題となります。
聞いてもらえないと感じたときの心理的影響
人は誰しも、自分の話を聞いてもらいたいと思うものです。話を聞いてもらえないという経験が続くと、相手に対する不満や、自己評価の低下を感じることがあります。
たとえば、部下が上司に何度も相談を後回しにされると、「自分の意見や悩みは価値がない」と感じ、モチベーションの低下や、チーム内での発言の減少に繋がることがあります。
また、夫婦関係や親子関係では、話を聞いてもらえないことで、「自分は相手にとって重要ではない存在なんだ」という感覚が強まります。
存在自体を否定されているように感じて、大事にされているという実感がもてなくなってしまいます。
「あとで」はいつ来るのか?具体的な約束が大切
先ほども書いた通り「あとで聞く」という言葉自体は悪くないのです。
気持ちの余裕がない時に、うわの空で聞かれることも、大事にされていない感覚が高まるだけです。
大事なのは「あとで」というのが本当にくるのか。それがいつなのか、具体的であればあるほど安心感を与えます。
「あとで」と言って何も決まっていない場合、相手はいつまで待てばいいのか不安になり、結局その話は永遠に聞いてもらえないのではないかという不信感が生まれます。そのため、具体的な時間を伝えることが大切です。
たとえば、「30分後にきくよ」や「夕食後に話そう」と約束することで、相手は待つことに納得し、後で話を聞いてもらえるという安心感を得られます。特に、夫婦や親子の間では、このような具体的な時間の約束が、信頼を築くために非常に重要です。
すぐには時間がとれない場合でも、「いついつの何時だったら時間をとれるけど、その時でもいい?」と具体的な時間を伝えて約束すると、あなたのために時間をとるというメッセージになります。
そして、その時間はじっくりと話に集中する。
大事な人の、大事な話だから時間に余裕のある時を伝えて聴く。それを繰り返すことで、信頼関係を深めることができます。聞く姿勢が関係を育ててくれるのです。
聞いてもらうためにできること
では、聞いてほしいのに相手に「あとで」と言われて、そのままスルーされてしまう場合はどうしたらいいのか。
自分の時間のあるとき、自分がきいてほしい時、自分の都合で声をかけていませんか?
相手にも相手の都合があります。
仕事でミスをして怒られて落ち込んでいるときに帰宅すると、すぐに妻から「ねえねえ、きいて。今日ね、こんなことがあって」と一方的に話しかけられる。
会議がいくつも入っていて、その合間に休憩しているときに、部下から「あのこないだの話なんですけど…」と話しかけられる。
こんな状況で話しかけられたら、悪気がなくても思わず「あとにして」と言ってしまいますよね。
相手にも相手の都合があると思えば、相手が落ち着いていそうなときに話しかけたり、「話を聞いてほしいんだけど、ちょっとでもいいから時間とれる時ある?」と事前に約束をするということができるようになります。
これは相手のことも自分のことも大事にしていて、お互いを守ることにもつながります。
まとめ
「あとで聞く」という言葉自体は悪くありませんが、そのあとどうするかによって、相手との関係をよりよくするのか、壊してしまうのかの違いがでてきます。
話を聞かないことで相手が感じる不満や寂しさは、関係に悪影響を及ぼすことがあります。大切なのは、聞こうとしている姿勢をみせること。そのために、時間と心の余裕のある時を伝えて、約束すること。そして実際にその時間を守り、話をしっかりと聞くことです。
信頼や絆を築くためには、小さな気配りや、相手を尊重する姿勢が不可欠です。
もし、日常のコミュニケーションに悩んでいるなら、ぜひカウンセリングを考えてみてください。専門的なサポートを受けることで、夫婦の絆をさらに強くすることができますよ。
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