こんにちは、心理カウンセラーの東条直子です。
「そんな夫とは別れた方がいい」
「あなたにはもっと良い人がいる」
「ちゃんと自分の幸せを考えたほうがいい」
夫がギャンブル、借金、あるいはDVなどの深刻な問題を抱えている場合、周囲の助言は決まって「離婚すべき」というものでしょう。それは心配してくれているからです。
でも、その助言をすんなり受け入れられる人は多くありません。なぜなら、そんな夫でも幸せを感じている妻もいるからです。あるいは、別れたい、別れるべきだと思う反面、子育て、経済的な問題から離婚を躊躇する気持ちを抱えている人も少なくありません。
実は、この問題はカウンセラーとしてクライアントさんのサポートをしていて、私自身が悩むことでもあります。
ご主人さんは変わる気がなさそうだし、このまま一緒にいても苦しいだけじゃないかな…。
そんな考えが浮かぶことがあるからです。
でも、結果的に離婚という選択をしない方もいます。その方たちが不幸かというと、そうでもない。幸か不幸かというのもカウンセラーが決めることではありません。
そして、離婚以外の選択をして、カウンセラーが想像もしていなかった道を歩んでいく方もいます。
そんな方たちをみていると、やはり離婚はいくつかある選択肢の一つにすぎないし、カウンセラーは一方的な価値観を押し付けるものではないと思うのです。
もちろんDVなどで危害が及ぶ場合は、安全を確保することが最優先となるので、無理にでも離す必要はでてきます。
緊急性が高いケースを除くと、必ずしも離婚が最善とは言えないと思っています。
必要なのは、何を選択するにしても、自分が選択したという意識です。
その理由についてお伝えしますね。
感情的なつながりや愛情があるから
夫婦の間に深い愛情や感情的なつながりがある場合、これを簡単に断ち切ることは困難です。
誰もが幸せな結婚生活を想像して結婚します。でもその理想が崩れ去る事態に直面すれば、「もう限界だ、離婚しかない」と思うのは当然でしょう。
でも、ギャンブル、借金、DVなどの問題行動だけをみてみるとひどい夫ですが、結婚前は素敵な人だったんです。そんな素敵な彼をみているから結婚を決めたんです。結婚後もひどい夫の部分だけではなく良い夫の部分もみているから、すんなりと離婚にふみこめないんです。
「そんな夫でもいいところはある」、「昔はそうではなかった」、「また以前の夫に戻る」そんな考えが浮かんでしまうんです。
二人の間でいい思い出があればあるほど、愛情が深ければ深いほど、別れた時の喪失感は大きくなります。
こういった喪失感は、自分で決断したと思わないと耐えられないものです。
「絶対に離婚したほうがいい」と言われて納得しきれないまま離婚になった場合は、「離婚していなかったらどうなっていたんだろう」「離婚していなかったら幸せだったかもしれない」と後々考え続けてしまうことにもなります。
自分の意思で決めたわけではないので後悔することが多いのです。
現状のしんどさよりも、別れることからくる痛みのほうが強いと思うのであれば、離婚しないという選択もありだと思います。
後々離婚することになったとしても、周囲が離婚させようとしているうちは一旦保留にして、本当は自分がどうしたいのかを考えるということが必要なこともあります。その時間は無駄ではないですし、自分で考えるということも自分で選択しているので、意味があるんです。
自分が納得するまでは離婚という選択をしないで、待つということでもいいんです。
離婚をするのもしないのも自分で決める。別居、仮面夫婦、それでも離婚しないという選択もあります。
夫婦で病気に向き合うという選択もある
ギャンブル、飲酒は依存症という精神疾患とされ、脳の報酬システムの異常とみなされ専門的な治療が必要だとされています。
借金の問題も依存症の問題とからんでいることがありますし、経済的なストレスや精神的な問題から繰り返していることもあります。
DVも同様に、依存症との関連、自己肯定感の低さ、過去のトラウマなどから生じます。
本人にとっては、ストレスをギャンブル、飲酒、借金、DVという方法でしか対処できないのです。ストレスとの向き合い方、対処の仕方を知らないからそうなってるのであって、病気ととらえると、治療の対象であるとわかります。
多くはないケースではありますが、そういった夫の言動を病気ととらえて、夫ではなく病気を一緒に治していくという選択をされる方もいます。
そのためには夫自身が自分の問題を病気、治すべきものととらえる必要があります。ギャンブル、借金、DVをする人は内省する力が弱いので、まず自分の問題に向き合ってもらうこと自体が難しい状態です。
でも、自分の問題ととらえていたり、改善する気がないようにみえますが、ほとんどの人が、どこかでこのままではダメだと思っています。でもどうにもできないから自暴自棄になってしまい、どんどん悪循環にはまっています。
いつもは隠れているこのままではダメだという本人の気持ちに根気強くかかわって、引き出していく奥さんもいます。そして、夫が治療を受ける決断をし、妻もそれを支えることで、夫婦関係が改善するケースもあります。
これには相当な覚悟が必要です。精神的にも肉体的にもつらい。
そこまでつらい思いをして、夫が期待に応えてくれるとは限りません。それでもいいと思えるぐらいの愛情と覚悟が必要になりますが、自分でその道を選択したと思っている方にとっては、周りが思うほど苦難とは感じていない場合もあります。
あるいは自分が選択した人生なので、しんどいことも嬉しいこともすべて受け入れていける人もいます。
やはり必要なのは、離婚するかしないかではなく、自分が選択したと思えているかどうかです。
まとめ
離婚は一時的な解決策であるかもしれませんが、それが全ての問題を根本的に解決するわけではありません。
あなたが夫の問題で悩んでいるとき、つらそうにしているとき、あなたのことを大切に思っている人は「離婚した方がいい」というかもしれません。
多くの人に言われると、離婚という選択が正しくて、離婚に躊躇している自分がおかしいような気持になることがあります。でもどちらが正しいということではありません。
多くの人がいう社会的に正しいような選択をするのではなくて、自分が納得できる選択をしていくことが大切です。
自分の気持ちと周囲からの助言で混乱している方、ひとりで悩まれている方は、ご相談ください。
カウンセラーとしてできることは、クライアントが自分自身の安全と感情を第一に考えながら、自ら選択できるようにサポートしていくことです。
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