アダルトチルドレンが「治る」とは?

こんにちは、心理カウンセラーの東条直子です。
アダルトチルドレンは病気ではありません。診断名でもありません。

たとえば、骨折をしたら骨のずれを調整したり、手術をしたりして元の状態に「治し」ます。
腫瘍があれば、腫瘍を取り除くことで「治し」ます。

一方、「アダルトチルドレン」には、自己評価の低さ、見捨てられ不安の強さ、自己主張ができない、適度な距離感を保つことの難しさなどがあります。

だから、嫌われないように人に合わせてしまったり、認めてもらうために頑張りすぎてしまったり、怒られないように目立たないようにしたり…自分を押し殺してしまい生きづらさを抱えます。

この、アダルトチルドレンの人たちが抱える生きづらさは主観的なもので、かつ目に見えるものではなく、幼少期より続く症状なので元の状態というのがどの状態なのかわかりません。したがって、外科の手術のように誰から見てもわかる「悪いもの」「異常なもの」を医者が取り除いて元の状態に戻せばいいという単純な話ではありません。

では、病気でも診断名でもないアダルトチルドレンが「治る」ということは、どんな状態になることなのでしょうか。

①人の基準ではなく、自分の基準を大事にできる

アダルトチルドレンが「治る」というのは、「人の基準ではなく、自分の基準を大事にできる」ことです。

アダルトチルドレンの特徴の一つに、「低い自己評価」があります。

「忙しいんだから邪魔しないで」
「また失敗したの?」
「こんなこともできないの?」
「言わなくてもわかるでしょ!」
「お兄ちゃんは勉強も運動もできるのに、あなたは…」
「あなたがいなかったら、私は幸せだったのに」

人と比べられたり、否定的な言葉をかけられていると、否定的な自己イメージが出来上がります。

また、両親のケンカがたえず、ギスギスした空気の中で育った場合は、親の顔色をうかがうようになります。子どもの世界は狭いので、親との関係をもとに、友人関係を作っていきます。

だから、否定的な自己イメージが出来上がると同時に、人に嫌われないように人を怒らせないように人に認めてもらえるようにということを、対人関係、仕事、自分の人生などすべてにおいて、優先させるようになります。

つまり、「自分が何をしたいのか」、「自分がどう思うか」、ではなく、「人が何を望んでいるか」、「人からどう思われるか」、「普通の人はどうするか」を判断基準にしているのです。他人に関心が向いてしまっている状態です。

他人を判断基準としていると、相手の言動に一貫性がない場合に振り回されてしまったり、相手の思い通りにしたいという欲求にのせられてしまったり、大勢いる場所ではすべての人に良い顔をしようとして疲れてしまったり…となります。

アダルトチルドレンの人たちは人の目を気にして他人軸で生きていますが、「自分はどう思うか」「自分はどうしたいか」を基準にする自分軸で生きられるようになると、他人の言動に振り回されることがなくなり、生きづらさが改善されます。

そして、その自分の基準ができると、自分の行動に対して、自分で評価できるようになります。
他人からは認めてもらえなくても、「よくやった」「頑張った」と自分で自分を褒めることができるようになります。

そうなると「治った」と言えるのではないでしょうか。

②意識的に言動を選択できるようになる

アダルトチルドレンが「治る」という2つめの状態は、「言動を意識的に選択できるようになる」ことです。

人に嫌われないように人を怒らせないように人に認めてもらえるようにということを優先させているアダルトチルドレンの人たちは、他人に振り回されます。

他人が主張することが正しいと思い込んだり、もやもやを抱えながらも言われた通りにしたり。
人にどう思われるかに軸を置いているので、言いたいことがあっても言えません。

だから人からの誘いを断れなかったり、頼まれると嫌でもノーと言えずに、もやもやを抱え込んでしまうことになります。

また、相手に「あなたが悪い」「あなたのせいで」と言われると、自分の責任だと思い込んでしまいます。本当は相手に非があっても、自信がないアダルトチルドレンの人たちは、自分が悪いと思い込んで、相手の問題もすべて引き受けてしまうのです。

アダルトチルドレンの人たちのこういった行動は、パターン的に繰り返されています。
嫌なのに断れない、言いたいのに言えない、本当はやりたくないのにやめられない。

その理由は、親に自分の意見を言うことで怒られたり、抑えつけられたり、頑張っているのにもっと頑張れといわれたり、頑張りを認められなかったりした経験から身についた行動なのです。
学習された行動パターンとも言えます。

その行動パターンが、悪循環となって、生きづらさを生み出しています。
その行動パターンと悪循環に気づくことができれば、パターン的に繰り返されている行動を意識的に変えることができるようになります。

そして、意識的に変えると同時に、意識して変えないという選択もできるようになります。
たとえば、主張する/主張しない、という行動を例にとると、どちらがいいということではなく、意識的に選択しているかが重要になります。今は言わない方がいいと判断して主張しないのと、主張できないというのは全く異なります。

その判断ができるようになり、状況に応じて行動を選択できるようになれば、アダルトチルドレンは治ったといえるのではないでしょうか。

③できない自分、悪い自分も受け入れられるようになる

アダルトチルドレンの人たちは、全か無かの極端な思考になりやすい傾向があります。

・良いか悪いか
・正解か不正解か
・良い人か悪い人か
・敵か味方か

他人に対しても、良い人か悪い人かで判断するように、自分のことも、いいか悪いか/成功か失敗/正解か不正解か、といった判断をします。

誰にでも、長所と短所があります。でも、その長所と短所は絶対的なものではありません

たとえば、「怒ることがなくて優しい」人がいたとします。ある人にとっては、安心感を感じられてものすごく魅力的に映るかもしれません。でも、別のある人にとっては、主張できない人、弱々しい人、八方美人のように映り、マイナス面としてとらえているかもしれません。

自分では「消極的」なところがダメだと思っていても、他人からは「おしとやかで上品」だと好意的に思われているかもしれません。

ある人にとっては「失敗」と思うことが、別の人にとっては「大きな学び」ととらえられているかもしれません。

また、やさしい部分と意地悪な部分がひとりの人の中にあることは当たり前です。

表面的な情報からいい悪いと評価するのではなく、ひとりの人にいろんな面があって当たり前なことや、自分がダメだと思い込んでいるものも見方を変えると別のものにみえることに気づいて、部分ではなく全体をみることができるようになれば、自分ができないところだけではなくてできていることに目を向けられたり、自分の弱点だと思っている点にも長所があることに気づいたりできます。

そう思うことができると、できない部分からできていることに目を向けられるようになったり、意地悪な心がでている自分を否定するのではなくて人間であれば当たり前のことというようにやさしく受け止めるられるようになります。

完璧な人間じゃなくていい、失敗から学んで少しずつステップアップできればいい、と思い、できない自分、完ぺきではない自分を認めることができるようになれば、アダルトチルドレンは「治った」と言えるでしょう。

まとめ

アダルトチルドレンが治るというのは、

①人の基準ではなく、自分の基準を大事にできる
②意識的に言動を選択できるようになる
③できない自分、悪い自分も受け入れられるようになる

です。

つまり自分軸で生きられるようになると、アダルトチルドレンの生きづらさはなくなります。
そのためには、自分の状態を客観的に知るということが必要になってきます。

自分を客観的に見ているつもりでも、自分の中にない考えは浮かんでこないので、自分を客観的にみているようで主観的な見方から抜け出せていないということがよくあります。

そんな時は、カウンセラーと一緒にみていくことで、より客観的な視点が得られるようになります。ひとりでは難しいと思われる場合は、カウンセラーに相談することも考えてみてください。

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