【愛着障害】認知の歪みが引き起こす夫婦関係の悪化とは?

こんにちは、心理カウンセラーの東条直子です。

私たちが日常生活で抱える不安やストレスの中で、「認知の歪み」が関わっていることはご存じでしょうか?

認知の歪みとは、物事を事実とは異なる意味付けをして捉えてしまう心の働きです。

例えば、知人にLINEを送り、既読になったのに1日経っても返事がない時。

「わたし嫌われてる…?」と思い込んでしまうことありませんか?
不安が強いときは、ネガティブな考えが100%正しいと思ってしまいます。

でも、2日後に「返事遅くなってごめん。仕事に追われてて大変だったんだよ~。実は上司がさ…」とお気楽な返事が返ってきたりすると、「わたし嫌われてる…?」という確信度が一気にゼロに近くなりますよね。

そして、「あ、そうなんだ。忙しかったんだ。頑張りすぎじゃない?大丈夫?」と新たな考えに変わることがあります。こうなると不安はなくなりますね。

こんなふうに事実とは異なる考えを正しいと思い込んでしまっていることを「認知の歪み」といいます。バランスが悪いという意味で「思考の偏り」「極端な思考」とも言います。

誰にでも認知の歪みはあります。でも、幼少期に安定した愛情を注いでもらえなかった愛着障害の人たちには、とくにこの傾向が強くみられます。

このような歪んだ考え方が積み重なると、人間関係に深刻な影響を及ぼすことがあります。

その中でも、結婚後に夫に対して怒りをぶつけるという例は、愛着障害の人たちの典型的な認知の歪みの表れである場合があります。

認知の歪みが夫婦関係に及ぼす影響

愛着障害を持つ人は、どんな自分でも受け入れてもらえる、困ったら助けてもらえるという、自分と他者に対する信頼感が薄い傾向があります。

だから他人といても安心感や信頼感を感じることが難しく、相手の行動を過度に警戒し、小さな変化にも敏感に反応してしまいます。

そして、自分が傷つけられたり、見捨てられることに恐怖を感じると、しがみついたり、相手の愛情を試すような言動をしてしまいます。このしがみつきや試し行動は、特に親密な関係において顕著に現れます。

例えば、結婚前は頻繁に連絡をくれて、少しでも不安なことがあるとすぐに駆け付けて「大丈夫だよ」と言ってくれて、自分のために尽くしてくれていたのに、結婚してしばらく経ったある日、連絡なくいつもより遅い帰宅。

妻「今日遅かったね。どうしたの?大丈夫?」ときくと、
夫「うん。仕事が長引いて」

そっけない返事をして部屋にこもってしまったとします。

冷静にみると、「仕事が忙しくて疲れている」「妻を気遣うほどのエネルギーも残っていない」と考えられます。

でも、愛着障害をもっていると、「連絡なし」「帰宅遅い」「そっけない返事」をつなぎ合わせて、「私への愛情がなくなった!」「浮気している!」という勝手な意味づけをしてしまうのです。

夫にそんな意図など全くなかったとしても、彼女の中ではそれが真実となってしまうのです。

このような認知の歪みが続くと、夫に対して怒りをぶつけたり、しがみついたりするようになります。

最初は小さな不満、モヤモヤだったものが、次第に大きな怒りへと変わり、夫婦間での口論や対立が増えていきます。

結果として、夫婦関係が悪化し、場合によっては離婚という結末に至ることもあります。

認知の歪みを修正する方法

では、このような認知の歪みがあるとしたら、どうしたらいいのでしょうか?

修正する方法はあります。でも、そもそも認知の歪みは自覚すること自体が難しいのです。極端な考え方をしてしまっているときは、それが真実だと思い込んでいますから。

でも実は、極端な考え方をしているときというのは、不安や焦り、寂しさ、傷つき、悲しみなど負の感情を感じているとき、自分のトラウマの記憶が刺激されたときなんです。

だから他人が夫婦の関係で悩んでいたら、「そんなの考えすぎだよ~」と言えるのに、自分のことになると不安から「私への関心がなくなった!」「夫は浮気している!」と100%に近い確信度で思い込んでしまうのです。

強い感情がでたときは極端な考え方をしてしまうとわかっていると、不安になっているとき、焦っているときに、思考の歪みはないかな?と立ち止まることができます。

立ち止まることができたら、自分の考えが本当に正しいのか、他の考えはないのかを冷静に探ってみます。

例えば「もしかしたら忙しかっただけかも」という他の考えが見えてくると、「浮気している!」の確信度100%だったものが、80%ぐらいに下がるかもしれません。

さらに、「前にも忙しかったときはそっけなかったな」という事実が思い出されると、「浮気してる!」の確信度80%が60%に下がるかもしれません。

このように、別の可能性がないかを探ることで、視野を広げていき、バランスよく物事をみていきます。

このとき大事なのは、極端な思考を否定して無理やりポジティブに考えることではありません

極端な思考だと思っているものが事実である場合もあります。まずは、他の可能性を考えて、一つの考えの確信度を下げていくことになります。そして冷静にみていく姿勢を身につけます。

これが認知の歪みを修正する方法です。

ひとりでは難しいと感じたら…

認知の歪みの修正は、主に、認知行動療法(CBT)で扱っている手法です。
認知行動療法では、自分の考え方や感じ方を客観的に見つめ直し、歪んだ認知を修正していくプロセスを学びます。

このプロセスが習慣づくと、強く感情が揺れ動いたときに冷静になることができるようになるのですが、習慣づくまでに何度も振り返る作業が必要になります。

認知の歪みは、深く根付いた思考のパターンであり、まず気づくこと自体が難しく、さらに自力で正していくことは非常に難しいものです。

私もそうでした。気づくことができるようになっても、修正するとなるとひとりでは難しい。
今でも強い感情がでてひとりでは対処できないときは、カウンセラーに相談することもあります。

定着するまではカウンセラーや専門家と一緒にすることが大事になります。
夫婦関係だけではなく、対人関係による生きづらさを改善したいと思われる方は、ご相談ください。

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カウンセリングは、カウンセラーとの相性が大事になります。
不安なこと、気になることなどございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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