【愛着障害】白黒思考の代償

こんにちは、心理カウンセラーの東条直子です。

愛着障害を抱えている人は、白黒思考、低い自己評価、過剰な警戒心、依存と回避の二極性、見捨てられ不安、自己犠牲的思考、理想化とこき下ろし、感情の読心という傾向をもっていることが多いといわれます。

そのなかでも、今回は「白黒思考」つまり物事をゼロか百で捉える思考パターンについてお伝えします。

白黒思考は、判断力が早く、考えも明確であるため仕事で重宝されることもあります。
しかし、人間関係においては対立を生みやすく、特に距離の近い夫婦の間では深刻な影響を及ぼすことがあります。

ここでは、白黒思考が夫婦関係に及ぼす影響について、具体的な例を交えてお伝えしていきます。

白黒思考とは

白黒思考とは、物事を「良いか悪いか」「正解か不正解か」「成功か失敗か」「全か無か」と二元論で捉える思考パターンのことを指します。

白黒思考の人は、曖昧な状態を受け入れられず、はっきりしないことがあると不安になったり、憤りを感じたりしてしまいます。曖昧な状態に耐えることができないため、すぐには結果が出ないことがあると情緒が不安定になります。

この思考パターンは、認知の歪みの一つであり、愛着障害の人に多く見られます。

子供の頃に安定した愛情や安心感を十分に得られなかった場合、物事を安全か危険かの二極で判断しがちになり、結果として極端な思考が染み付いてしまうのです。

家庭内の白黒思考の影響

では、この白黒思考が家庭内、特に夫婦関係にどのような影響を与えるのでしょうか。

例えば、ある妻が夫に不満を持っているとします。

「彼は全く家事を手伝ってくれない。だから、彼は私を愛していない」と考えるのは、典型的な白黒思考の例です。

このような考え方は、家事を手伝わないことと愛情の有無を結び付けて、夫の行動を全否定してしまうことになります。

そして、私のことが大事なら手伝ってくれるはずという前提で、夫を試すような言動をしたり、愛情を得ようとしがみついたりします。

そんなことをされたらご主人さんは意味が分からなくて疲れてしまいますよね。
自分なりにできることをしているご主人さんもいらっしゃいますが、白黒思考の人はゼロか百かで物事をみるので、自分の望むことをしてくれない場合は「何もしてくれない!」となるのです。

「手伝っているつもりなのに、認めてもらえない」とご主人さんが感じると、さらにお互いの距離が広がり、口論や感情的なぶつかり合いへと発展してしまいます。

結果として、夫婦間に緊張感が生まれ、家庭の平穏が崩れることがあります。

白黒思考の根本にあるもの

白黒思考の背景には、自己肯定感の低さや、他者との健全な距離感を持てないことがあると考えられます。

愛着障害を抱える人は、子供の頃に受けた不安定な愛情体験から、自分自身を正当に評価することが難しい傾向があります。そのため、少しでも不快な出来事があると、それを過剰に捉え、自分や他者を全否定する方向に走ってしまうのです。

では、白黒思考をどのように克服したら夫婦関係を良好に保つことができるのでしょうか。

一つの方法として、物事を「グレーゾーン」で捉えることが挙げられます。

つまり、すべてを完全に良いか悪いかで判断するのではなく、「これは部分的に良い面もあるし、悪い面もある」といったように、相反する要素を同時に受け入れていくのです。

例えば、先ほどの家事の例で言えば、「彼は私が期待しているほどには家事を手伝っていないかもしれないが、彼も忙しい中でできる範囲で頑張っている」という見方をすることができます。

また「私への愛情を失ったのかもしれない。でも100%そうとは言い切れないかもしれない」という答えの出ない状況を受け入れていくことです。

こんな見方ができると、夫に対する不満を全ての愛情否定に結びつけるのではなく、冷静に話し合い、解決策を見つける余裕が生まれてきますね。

まとめ

白黒思考が夫婦関係に及ぼす影響について、具体的な例を交えてお伝えしました。

実は白黒思考は、他者との関係に悪影響を及ぼすだけではなく、自分も苦しめることになるものなんです。

些細なことで過剰な意味づけをしていたら、自分の気持ちも大きく揺れ動き、穏やかに過ごせません。そして、「あなたがそんなことしなかったら私は穏やかに過ごせるのに!」と相手に怒りをぶつけてしまいます。

つまり自分が安定して過ごせるかどうかは相手次第だと言っているのです。これって他人軸ですよね。

自分の機嫌は自分でとれる、不安なことがあっても自分で気持ちを安定させて解決に向けて動くことができるという状態が自分軸です。

それには、グレーゾーンを受け入れて柔軟な思考パターンを身につけていくことが必要になります。現状をどうとらえて、どう対処していくかで、自分の現状をいい方向に変えていくことができるんです。

それにより、夫婦関係はより健全で穏やかなものへと変わっていきます。さらに、夫婦関係以外のところでもどんどんいい変化が起こっていきますよ。

もし、自分の白黒思考が原因でうまくいかないと感じている方は、ぜひカウンセリングを検討してみてください。

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